修了生の声

VOICE

  • 博士前期課程2023年度修了 医師

    私は救急医療、集中治療を専門とする医師です。対峙する患者さんのバリエーションが多く不確実性の高い領域であるため、SPH入学以前から医学に関するエビデンスを限界を意識しつつ活用すること、また自分でもエビデンス創出(臨床研究など)に関与することに関心がありました。SPH学んだことは十分にこの関心を満たし、伸ばしてくれるものでした。

    また、SPHでは多岐にわたるパブリックヘルス関連事項を幕の内弁当的に学ぶ機会にも恵まれます。自分が医療者として関与する施設や地域で何がパブリックヘルス的に問題か、自分の専門領域と関連してどのような貢献ができるかを日常的に考える視座が生まれました。とかく自分のやりたい医療に走りがちな医師にとって、求められる医療ややるべき医療が何なのか省みることは重要と思います。時に、他の医師が関心を示さない領域がブルーオーシャンに見えることもあります。

    とはいえ医師がMPHを取得することで劇的なキャリアチェンジに寄与する部分は大きくないかもしれません。しかし、自身や周囲に対するパブリックヘルスに強い関心を持って医療に関与しているという意思表示になります。これは何かの形で自身の行動変容につながることでしょう。

    色々書きましたが、単純に「MPH」という響きが何となく格好良い、が最大の満足かもしれません。

  • 博士前期課程2023年度修了 医師

    1番実感していることは、自分の研究・学術活動(職場における指導、座長、査読対応など)に以前より自信が持てるようになったことです。授業で研究の基礎を学び、その実践がリサーチミーティングという研究発表会で可能です(開講期間にほぼ毎週開催)。単科大学院であり、先輩・同級生・後輩の研究過程や成果を聞く機会があるため、批判的吟味・ブレインストーミングができます。発表者としても、質疑応答の練習にもなりますし、いろいろな視点からの意見が聞けて、学ぶことが多いです。

    そして、静岡SPHの大学院生活を通して、「経験0から1」に変わったことがいくつかあります。例えば、英語論文の執筆・アクセプト、国内学会での英語での口頭発表、これから国際学会での口頭発表も決まりました。私は子育てが少し落ち着いてきた40歳前半で入学し、キャリアとしては遅いスタートですが、自分の成長を実感することができています。最初の一歩の壁は大きかったですが、先生方の熱意のこもった厳しい指導と、地道な匍匐(ほふく)前進のおかげだと思います。しかし、2年という修士課程の期間は思ったより短く、まだまだ力不足であることを実感しているため、博士課程への進学を決めました。

    また、卒業してから1年以上経ちますが、時々同級生と情報交換をしたり、授業を通して知った団体の活動に賛同して短期ボランティアとして参加したり、自分のコミュニティが広がったことも実感しています。

  • 博士前期課程2023年度修了 医師

    社会健康医学という分野は、従来の医学教育では過小評価されがちでしたが、この領域の知識は、新型コロナウィルス感染症や超高齢化など、私たちの未来に大きな影響を与える社会的課題に対応する上で絶対に欠かせないものです。私自身、専門は皮膚科学でしたが、本学での学びを通じて、日本の未来に必要な医療の方向性を広く見渡す力を身につけることができました。それは、私の医療人生において非常に貴重な体験となり、教員として研究に携わる大きな転機となりました。あなたも、日本の医療を向上させるために、本学の学生として勉強してみませんか?

  • 博士前期課程2024年度修了 医師(総合内科・脳神経内科)

    医師4年目で入学し、この春修了しました。医師になって最初に立ちはだかった壁は、医学的知識の欠如や技能の不足よりも、医療という枠組みの中では解決し得ない社会的、心理的、精神的弱者の存在や、単に医療的なアプローチではどうすることもできない包括的な患者へのアプローチやシステムの脆弱性、そして何より健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health)を適正な医療資源の配分に繋げられないだろうかという課題意識でした。この漠然とした課題にアプローチするための知識や方法論さえ持ち合わせていなかった私は、社会実装を旨とした公衆衛生学的フィールドワーク、自主的研究を通してそれを体得できる本学の存在を知り、入学に至りました。在学中には公衆衛生専門職教育はもちろんのこと、量的研究のみならず質的研究や混合研究にも触れることができ、当事者の「語り」を主体として科学的論理性を見出す研究手法の奥深さを知ることができました。行動医科学ではどの様に人々に行動変容を促して社会をマスとして健康に導くか、ヘルスコミュニケーションでは難しい医学的情報を如何にわかりやすく市民に提供していくか、という実務に直結する内容も学びました。講義や多くのフィールドワーク、スモールグループディスカッションを通して良い意味で自らの視点や視野の狭さを思い知り、幅も奥行きも広げて下さいました。課題研究では、日夜、指導教官からの手厚いご指導をいただき、単なる解析手法に留まらない結果の包括的な解釈の仕方と限界点の考え方、論理展開をご教授いただき、ひとつの学術論文を仕上げることができた経験は得難いものでした。静岡SPHでの2年間の学修は非常に充実した日々で、学内オペレーションも素晴らしく、貪欲な学びをとことんサポートしてくださる環境でした。同期は年齢層や職種も様々ではあるものの、みな産業保健医療分野に携わる各分野のプロフェッショナルで、共通していることは日々の業務における課題を新たな学びを通して解決しようとする情熱でした。公私ともに意見交換を重ね、同じときを過ごした学友は一生の財産になりました。

  • 博士前期課程2024年度修了 メディカルクラーク

    私は、大学の留学中に新型コロナウイルスのパンデミックに遭い、感染予防・対策の要となった公衆衛生(社会健康医学)という学問に出会いました。集団の健康課題に対して医学的にだけでなく、社会的・環境的に多方面から問題解決に向けて追究する社会健康医学に重要性と魅力を感じ、静岡SPHへの入学を希望しました。

    クリニックのメディカルクラークとして勤めながら大学院に通いました。1年生の時は、私は医療の知識が全く無く、講義についていくことも苦労しましたが、先生方や同級生の皆さんに助けられながら共に楽しく過ごすことができました。中でも、ヘルスコミュニケーションや危機管理などの講義を通して、医療の知識のない、一般人寄りの私だからこそ見える視点や、パラメディカル(医療を補助する人)が社会健康医学を学ぶことの意義を感じることができました。今後は、ヘルスコミュニケーションに関する研究を行い、大衆に向けての健康行動を促すキャンペーンの開発や社会実装に繋がるように努めてまいりたいと思います。