授業科目(修士課程)
Subject
授業科目紹介(修士課程)
共通科目
- 社会健康医学概論
- 社会健康医学のエキスパートが先進医療の視点を取り入れ、我が国の健康課題をオムニバス形式で掘り下げます。卒業後のキャリアに役立つ思考を養い、理解を深めます。
- 公衆衛生危機管理論
- 県内外の実務経験者を招聘し、危機管理について公衆衛生の視点から自然災害、感染症などに対する適切なアプローチについて事例検討を行います。実際に危機管理パス(計画書)の試案を作成することで実践力を養います。
- 基礎医学講座
- 医療系以外の学部の卒業者を対象にした、公衆衛生の理解に不可欠な医学に関する基礎知識について学びます。
- 高齢者ケア概論
- 超高齢社会を迎える日本の高齢者の健康を支える介護予防と介護の取り組みを、自助、共助、公助の観点から学びます。さらに、家族介護者の向き合う問題などについて講義とディスカッションで理解を深めます。
- 公的統計活用法
- 公的統計の制度、統計調査の仕組み、統計分類、統計の利用法、各種統計(国勢調査、推計人口、人口動態統計、患者調査等)の概要、統計情報の二次利用の方法、公的統計を活用した研究について、系統的に学びます。
- 文献検索法・文献評価法
- 学術研究における基本的なスキルである文献検索法の基礎を身につけるとともに、疫学・EBM(Evidence-Based Medicine)の知識に基づいて健康・医療情報を検索・吟味し、主体的に活用する方法について、講義と演習を通して学びます。
- プレゼンテーション・
ライティングスキル - 研究の成果を効果的に伝えるプレゼンテーションスキルや、精錬された学術論文として仕上げるための技術を身につけることを目的に、講義と実例を用いた演習を行います。
公衆衛生学科目
疫学
- 疫学概論
- 疫学研究の意義を学ぶとともに、必要な理論や基本的知識について講義を行います。
- 疫学研究・臨床研究特論
- リサーチクエスチョンの設定から研究仮説の立案、研究デザインの構築、データの収集、データ解析、学術的な結果の解釈まで、疫学研究・臨床研究の方法と技術について演習形式で理解を深めます。
- 臨床研究概論
- 臨床研究を行うために必要な、研究デザイン、主要評価項目、対象者の選出方法、研究倫理、医療統計学など基本的な医学研究方法論について学びます。
- 疫学・ゲノム疫学特論
- 代表的な疫学研究やゲノムコホートを例に、その目的や特徴を理解することで、研究目的に応じた疫学研究・コホートの設定方法やデータの収集・管理、データの解析方法や結果の解釈に至るまで、実例を題材に理解を深めます。
医療統計学
- 医療統計学概論
- データサイエンスの根幹をなす統計学の基礎(要約尺度の推定、95%信頼区間や検定など)について概説します。また、数理・確率計算に関する演習や医学データ解析で頻用される統計ソフトウェアSASを用いた演習を行います。
- 医療統計学特論
- 具体的な研究事例を用いて、重回帰分析、ポワソン回帰分析、ロジスティック回帰分析、Cox回帰分析について概説します。また、層別解析や経時測定データ解析の基礎について、ソフトウェアSASを用いた演習を行います。
- 臨床試験解析学
- 臨床試験(ランダム化比較試験等)の実施方法、ランダム化の意義、試験デザイン、サンプルサイズ計算の方法、中間解析、データ管理及びモニタリング等について講義と演習を通して理解を深めます。
- 観察研究解析学
- 様々な観察研究(コホート研究、ケースコントロール研究等)の解析(研究)デザイン、統計解析の方法(傾向スコア、ROC解析、生存時間解析、経時測定データ解析、クラスター分析)について講義と演習を通して理解を深めます。
環境健康科学
- 環境健康科学・
産業衛生学概論 - 自然・社会・労働・作業環境と人間(労働者)の健康の保持・増進を図るために、持続可能な開発目標(SDGs)という環境と労働の未来を目指した、社会健康医学の専門家に求められる基礎知識について学びます。
- 環境健康科学・
産業衛生学特論 - 具体的な有害物質の影響と対策、リスクアセスメント、ストレスチェック、職場巡視といった労働環境の改善の手法等について演習を交えながら学びます。
- 生活習慣病
(生活習慣・遺伝子・環境) - 現在の医療の中心課題の一つである生活習慣病について、基本的な病態を理解し、病因の環境因子、遺伝因子等の観点からアプローチして理解を深めます。
行動医科学・ヘルスコミュニケーション学
- 健康情報学
- 疫学やEBMの考え方をもとに、医学文献、マスメディア、インターネットによる健康情報の評価を行います。また、自ら健康情報の作成を行う演習も行います。
- ヘルスコミュニケーション概論
- 健康増進と疾病予防に関する情報伝達を効果的に行うためのコミュニケーション手法の基礎について学びます。特に対象の調査・分析結果に基づく適切なヘルスコミュニケーション戦略について理解を深めます。
- ヘルスコミュニケーション特論
- ヘルスコミュニケーション手法やナッジ、ソーシャルマーケティングなど様々な行動科学理論を用いた、健康の維持増進のための研究や実践例について講義と演習を通して学びます。
- 行動医科学
- 行動科学理論に基づいて人間の行動を科学的に理解し、健康増進への行動変容を促すための基本知識について、認知行動療法やヘルスコミュニケーションなどを交えた講義を行います。
- 健康医療社会学
- 健康、病気、医療にまつわる多様な現象の社会的側面を捉える方法と意義について、病気行動、ラベリング、医療化といった健康医療社会学の理論を踏まえた講義とディスカッションを通して学びます。
健康管理・政策学
- 健康・医療ビッグデータ概論
- 健診データや診療情報、介護認定データなど、医療や介護を取り巻くビッグデータの解析手法と活用方法の基本的な考え方について系統的に学びます。
- 健康・医療ビッグデータ特論
- 健康・医療ビッグデータを用いて、データ駆動型の課題設定及びデータの集計・解釈を行う上で必要となる技術の修得を目指します。データを駆使することで、客観的なエビデンスに基いて政策決定や問題解決に資する能力を養います。
公衆衛生学科目
健康管理・政策学
- 健康政策・医療経済学概論
- 公的医療保険制度など健康に関する我が国の制度や政策を概観しつつ、今後、持続可能な制度として確立するための基本的な政策展開などについて学びます。
- 健康政策・医療経済学特論
- 健康政策上重要なテーマ別に、具体的な政策提言のあり方などについて、トピックスを含め、講義などを通じて学びます。
- 社会健康医学倫理概論
- 社会健康医学領域の研究活動や臨床場面で生じる倫理的課題の背景には、いくつかの価値観が対立している場合が多くあります。本講義では、倫理的判断をする上で必要となる知識と考え方を身につけることを目指します。
- 社会健康医学倫理特論
- 医学研究やその臨床応用には、様々な形で倫理的・法的・社会的課題(Ethical Legal Social Issue: ELSI)が絡んでいます。本講義では、臓器移植、再生医療、健康格差などのトピックスにおける問題の構造を概説し、ELSIの理解を深めます。
- システマティックレビュー概論
- 玉石混淆のエビデンスが氾濫する中で、科学的に適切な方法で統合された情報が求められています。本講義では、疫学研究の基礎知識を前提に、ヘルスクエスチョンの定型化、定性的システマティック・レビュー、メタアナリシスの概要を演習形式で習得します。
- 診療ガイドライン概論
- 診療ガイドラインの標準的な作成方法(GRADE approach)、および診療ガイドラインの評価ツール(AGREE II)について、系統的な解説と評価の演習、およびディスカッションを行います。
- 循環器臨床・疫学研究概論
- 講義の前半では循環器疾患の基礎知識を学び、後半ではその日学んだ疾患に関連する論文の抄読及びディスカションを行うことで理解を深めます。
ゲノム医学科目
ゲノム医学
- 医科遺伝学概論
- 遺伝子の構造と機能、細胞遺伝と染色体異常、ヒトゲノムの多型性などの遺伝学の基礎からメンデル遺伝と非メンデル遺伝、腫瘍遺伝、集団遺伝など医科遺伝学に必要な知識を系統的に学びます。
- 医科遺伝学特論
- 様々な疾患の診断・治療・予防における遺伝医学の有用性について学びます。生活習慣病・がん・自己免疫疾患・小児遺伝性疾患をテーマとした講義から、疾患の遺伝背景・環境因子との関わり・原因遺伝子探索法について幅広い知識を習得します。
- 遺伝カウンセリング
- ゲノム情報を臨床に還元する上で欠かすことができない遺伝カウンセリングの基本的な考え方、カウンセリング技法、留意点について、主要な遺伝性疾患を例に病因・病態の理解と、ゲノムと疾患との関わりについて学びます。
- 遺伝カウンセリング実習
- 遺伝カウンセリングの臨床現場や、それに先だって行われる専門家会議(エキスパートパネル)に参加し、座学で得た知識や技術をより深く修得します。予診の聴取、家系図の作成、電話でのフォローアップなどについての実習も行います。
- ゲノム医学(疾患と遺伝子)
- 医科遺伝学概論及び医科遺伝学特論で学んだ内容を基礎として、代表的な遺伝性疾患の臨床診断、遺伝子診断、疾患特異的な治療法、並びに遺伝子診療の現場における具体的な課題とその解決手法について学びます。
発展科目
- フィールド実習
- 実社会では多くの人々が、集団の健康保持と促進のために日々尽力しています。公衆衛生の現場を肌で感じ、人間の営みと結びついた幅広い公衆衛生学の視点を獲得することを目的に、校外実習を行います。
- 死生学
- 人の生き死ににまつわる多様な課題を扱う死生学の基本について、臨床死生学の主要トピックに関する講義とディスカッションを通して学びます。
- 質的研究法
- 人の持つ価値観や行動原理、所属集団の行動規範などを理解するために有用なアプローチである質的研究法について、量的研究法との違い、主要なデータ収集法と分析法などについて、講義と演習を通して学びます。
- 混合研究法
- 混合研究法は量的研究と質的研究を統合させる研究方法論であり、健康科学領域で一般的に用いられます。本講義では、混合研究法の様々な定義を俯瞰し「統合」を理解し、混合研究法を実施するための基礎力を養います。
- 精神保健学概論・
心理社会的支援技術論 - 県内における精神疾患予防対策、精神健康増進施策の立案に当たり、県民に精神保健行動をとってもらうための手法、特に認知行動療法や社会生活技能訓練(SST)の適用方法について講義と演習を通して学びます。
- 医療・ケア組織論
- 医療や介護等の現場において、疾病予防対策や健康増進施策を継続的かつ効果的に展開するための組織のあり方等について学びます。
- 高齢者ケア特論
- 要介護高齢者の健康状態は個人差が大きく、原因疾患による特異性も大きいことが特徴です。介護の課題も様々に異なることを理解し、大規模災害下の避難や看取りの問題も視野に入れた介護現場の実情について学びます。
- 高齢者運動・
リハビリテーション論 - 臨床・地域・ヘルスケア業界・ヘルステック領域などの切り口から、リハビリテーション・運動にかかわるアプローチ手法や産業について学びます。
- ヘルスケアビジネス論
- 社会医学関連の研究で必要な「社会実装」について、様々なヘルスケア企業のケースを通してビジネスの観点から必要な知識や実践の理解を深めます。
- オーラルヘルスプロモーション
- 口腔疾患の予防や口腔の健康意識を高めるプロセスであるオーラルヘルスプロモーションについての講義です。歯科医学の基礎知識、口腔疾患、地域口腔保健、全身の健康との関連等について文献や実践例を取り上げます。
特別研究
- 修士論文/課題研究
- 1年半をかけて社会健康医学領域の研究課題に取り組み、その成果を修士論文または課題研究として仕上げます。本学が世界に誇る研究基盤である大規模ゲノムコホートや医療ビッグデータを活用した研究はもちろんのこと、学生自身が臨床現場で蓄積してきたデータを用いた研究や、新たにデータ収集から始める研究など、様々なアプローチから社会健康医学研究に取り組みます。一人の学生に対し複数の教員が指導を担当することで、幅広い視点から綿密な指導を行います。
聴覚・言語コースの主な科目
- 聴覚解剖・生理学概論
- 聴器(外耳、中耳、内耳)の構造と機能の関連を学び、空気振動が蝸牛内で電気信号に変換されるメカニズムの基礎を学びます。
- 聴覚心理学概論
- 聴覚を論ずるに当たって、音を捉える指標に物理量と感覚量があり、その関連から聴覚心理学(聴覚物理学)の基礎的知識を学びます。例えば、騒音下の聞き取り、多数話者の中での聞き取りなど工学的、機械的に抽出不可能な音素の認知をヒトは無意識に行っています。
- 認知科学概論
- 認知科学とは一般に脳科学とも言われ、ヒトの知的活動を情報処理の視点から、解明する極めて学際的領域です。聴覚・言語領域において、語音聴取から意味理解までの認知のメカニズムが研究対象となります。感覚、注意、学習、発達などの教科書的知識を学びます。
- 知覚情報処理演習
- 研究実施(実験刺激の作成、生体信号の分析など)に必要な、信号処理、プログラミングの最低限の技術を身につけます。研究室には刺激として音(PC制御された12個のスピーカー)、画像(視覚刺激)があり、採取信号に脳波、脳血流、眼球運動、頭部運動などがあります。これらを研究目的に応じて、コントロールする基本的技術を学びます。
- 聴覚障害学
- 聴覚障害には伝音難聴、感音難聴、後迷路性難聴などがあり、その他、音は聞こえるが言葉がわからないという中枢が関与する語音認知、音声処理障害などがあります。先天性の重度感音難聴に対する人工内耳は音声言語獲得に重要であり、老人性難聴に対する補聴器は認知症、孤立の対策として重要であることを理解して障害への対応を学びます。
- 言語・認知・発達学
- 音を聞くことと言葉を解することは別次元の事象であり、音の繋がりからことばの認知にいたるまでの過程には複雑な音声処理がなされ、最終的には大脳の学習、記憶、感覚統合を参照して語音認知が可能となることを理解し、併せてこの脳神経回路形成には乳児期の一定の感受期の聴覚刺激が必須であることを学びます。
- 聴覚補償技術
- 難聴とは音の大きさだけの問題ではなく、音がひずむ、響くなど質的な問題を含むので、単に補聴器で音を大きくするだけでは不十分なことがあります。加齢性難聴では蝸牛のコルチ器(電気変換)の障害を伴うので補聴器の調整に限界があります。近年、重度の先天性感音難聴に対して人工内耳で音声言語獲得が容易な時代となっていることを学びます。
- 聴覚検査法
- 聴覚検査の目的は音声の聞き取りの障害の程度を評価することにありますが、一般的には複数の周波数の聞き取りの最小の音圧をプロットすることによって聴覚検査とされています(気導聴力)。さらに手術で治る難聴であるかを知るために、骨導聴力検査が合わせて行われます。その他、耳小骨連鎖、内耳エコー、脳幹反応検査などの意義を学びます。
- 知覚・生体計測演習
- 聴覚や神経の特性を評価するための様々な感覚・生体計測を体験し、自ら実験を行う能力を養います。標準純音聴力以外に語音聴力検査、耳小骨筋反射、耳音響反射検査(OAE)、聴性脳幹反応検査(ABR、ASSR)などを学びます。さらに発展的な検査としてEEG、NIRS、瞳孔・眼球運動なども体験し、聴覚心理物理学への導入とします。
- 聴覚療育・リハビリテーション論
- 先天性の重度難聴児が1才前後で人工内耳手術を受けた後の順調な音声言語獲得を支援するために様々な介入が必要となります。適切な聴覚活用と音声言語発達の評価に合わせた(リ)ハビリテーションが必要です。幼児の言語発達の評価、介入法の基礎的知識を学びます。
- 音声言語科学
- 音声(発話)に特に着目し、その基本的知識や脳科学的メカニズム(発話・音声連関やその発達も含む)を教授します。特に聴覚(感覚)と発声(運動)の連携について学びます。
- 課題研究
- これまでの業務上の経験、講義・演習等で得た気付き、各人の関心に基づいて、解決すべき難聴・言語発達・認知症等に関する課題を設定し、研究計画書を作成します。そして、研究計画書を踏まえたデータの収集、調査と分析を進め、その結果について、課題研究報告書の作成を目指します。