研究論文

Research Publication

血小板依存性の血漿クロット形成と溶解過程のリアルタイムイメージング解析により明らかとなった抗凝固薬の効果

2025.02.13

著者名
浦野哲盟ら
発表日
2025.01.09
論文タイトル
Real-Time Imaging of Platelet-Initiated Plasma Clot Formation and Lysis Unveils Distinct Impacts of Anticoagulants.
研究の概要
血栓形成に関わる凝固系と血栓溶解に関わる線維素溶解(線溶)系は相互に密に関わり、止血血栓の安定化と不要血栓の迅速な溶解を介して血流の維持に寄与する。活性化凝固因子であるトロンビンによって活性化される生理的線溶阻害因子であるトロンビン活性化線溶阻害因子 (TAFI) に焦点をあて、その活性化過程及び機能発現をリアルタイム可視化手法で解析した。活性化血小板上で特異的に発現する凝固系活性化に伴い血栓は活性化血小板を中心として形成され、TAFI は同部で多く産生されたトロンビンにより効率的に活性化され血小板周囲の血栓の安定化に寄与することが明らかになった。近年多く使用される経口抗凝固薬であるトロンビン阻害薬と FXa 阻害薬は、これらの時空間的凝固・線溶制御機構を各々異なる機序で阻害し凝固系だけでなく線溶系も修飾することが明らかとなった。これらの作用機序の相違が副作用である出血症状の発現の多寡に関わる可能性が示された。
PMID
39788528
掲載誌
Thrombosis and Haemostasis 2025