研究論文

Research Publication

H3 G34変異を伴うびまん性半球性神経膠腫において、中心線浸潤が予後不良であることが明らかとなりました。

2024.03.02

著者名
田中仁啓ら
発表日
2024.03.01
論文タイトル
Midline invasion predicts poor prognosis in diffuse hemispheric glioma, H3 G34-mutant: an individual participant data review
研究の概要
背景:本研究では、小児型びまん性高悪性度の膠芽腫であり、世界保健機関(WHO)グレード4に分類される新たな腫瘍である、H3 G34変異を持つびまん性半球性膠芽腫(DHG)に焦点を当てた。DHGは予後が悪いとされるが、遺伝的異常に関連する予後因子は報告されているものの、特に画像所見の観点から、DHGの臨床的表現に関する報告は少ない。本研究では、画像所見を含む臨床因子と患者の予後との関係を調査した。

方法:2012年4月1日から2023年7月1日までの期間にPubMedデータベースを通じてMedlineを検索し、画像所見と全生存期間(OS)について記述された記事を収集し、当施設から1例のDHG症例を追加した。中心線浸潤(MI)を、MRIにおける対側大脳、脳幹、脳梁、視床、基底核への浸潤と定義した。主な結果は12ヶ月生存率であり、カプラン・マイヤー曲線とロジスティック回帰を使用して推定した。

結果:96人の患者が本研究に含まれ、年齢の中央値は22歳、男性は48.4%だった。病変は前頭葉(52.6%)に最も多く認められた。MIは全患者の39.6%で陽性であった。OSの中央値は14.4ヶ月であった。単変量ロジスティック回帰分析により、MI陽性群はMI陰性群に比べてOSが有意に悪いことが明らかになった。多変量ロジスティック回帰分析では、MIがDHGの独立した予後因子であることが示された。

結論:本研究ではMI陽性の症例はMI陰性の症例に比べて予後が悪いことが確認された。
PMID
38427132
掲載誌
Journal of Neuro-Oncology