研究論文

Research Publication

広範囲下肢切断後に単回使用陰圧閉鎖療法システム(PICOシステム)を使用することで、創部感染が顕著に減少することが明らかになりました。

2024.02.10

著者名
田中仁啓ら
発表日
2023.12.13
論文タイトル
Effectiveness of Specific Single-Use Incisional Negative Pressure Wound Therapy (PICO System) After Major Lower Extremity Amputation
研究の概要
下肢切断(LEA)は、特に糖尿病や末梢血管疾患を持つ患者において、手術部位の感染や創傷の開放などの合併症を引き起こすことがあります。このような背景の下、携帯可能で使いやすいPICOシステム(単回使用陰圧閉鎖療法システム)を使用することで、LEA後の合併症を減らすことができるかどうかを調査しました。この研究は日本の三次医療センターで行われ、2021年1月から2022年12月の間にLEAを受けた32例の患者を対象に、後向きに解析を行いました。患者は、PICOドレッシングを使用したグループ16人と、従来のドレッシングを使用したグループ16人に分けられ、比較が行われました。主な調査項目は、LEA後15日以内に発生した手術後の創傷合併症の発生率でした。結果として、PICOドレッシンググループでは、表在性および深部の手術部位感染(SSI)や創傷の開放が、従来のドレッシンググループに比べて顕著に少ないことが判明しました(12.5%対43.8%)。特に、PICOグループでは深部SSIの発生はありませんでした。後向きデザイン及びサンプルサイズが小さいという限界はあるものの、PICOシステムがLEA後の創傷管理のアウトカムを改善する可能性があることを示唆していると考えられました。
PMID
38092691
掲載誌
The International Journal of Lower Extremity Wounds