研究論文
Research Publication
ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質抗体関連疾患に関して、本邦初の全国調査の疫学的調査の結果が出ました。
2023.08.25
- 著者名
- (Nakamura M),Kuriyama N (栗山長門)ら
- 発表日
- 2023.04.29
- 論文タイトル
- Epidemiological and clinical characteristics of myelin oligodendrocyte glycoprotein antibody-associated disease in a nationwide survey
- 研究の概要
- 難病疫学の厚労省の班研究で、疾病の全国疫学調査を実施しています。今回、ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質抗体関連疾患(MOGAD)の全国的な疫学調査を初めて実施し、日本におけるMOGADの疫学と臨床的特徴を初めて明らかにできました。MOGADは、多発性硬化症、視神経脊髄炎、抗アクアポリン4抗体陽性症候群の総称として知られています。我々は、MOGAD患者の臨床的特徴に関する質問票を全国の神経内科、小児神経科、神経眼科の施設に配布し実施しました。その結果、合計887人の患者が同定されました。総MOGAD患者数は1,695例[95%信頼区間(CI):1483-1907]、新規MOGAD患者数は487例[95%CI:414-560]と推定されました。推定有病率は1.34/100,000、推定罹患率は0.39/100,000と判明しました。発症時の年齢中央値は28歳(範囲:0~84歳)でした。このような臨床的特徴が多くわかりましたが、特に、発症時、視神経炎は発症年齢にかかわらず患者の約40%に認められること、急性播種性脳脊髄炎は若年者に多く、脳幹脳炎、脳炎、脊髄炎は高齢者に多いこと、免疫療法は非常に有効であることが、疫学エビデンスとして明らかとなりました。今後の神経難病の健康政策・ガイドライン作成、難病サーベイランスの指針に反映される予定です。
- PMID
- 36905136
- 掲載誌
- Multiple Sclerosis Journal 29:530-539.