研究論文

Research Publication

血漿プロアドレナメデュリン測定は、 超急性期脳卒中における虚血ペナンブラの評価バイオマーカーであることが明らかになりました。

2023.08.25

著者名
(Ishiyama H), Kuriyama N (栗山長門)ら
発表日
2023.03.23
論文タイトル
Plasma mid-regional pro-adrenomedullin: A biomarker of the ischemic penumbra in hyperacute stroke
研究の概要
我々は、血中生理活性ペプチドの研究を行っており、特に、脳血管特異的に発現しているアドレノデュリンの臨床応用に向けて、AMED共同班の研究を実施してきました。アドレノメデュリン(ADM)は、神経保護ペプチドとして知られており、神経保護的な潜在能力の応用が期待されています。今回、我々は、ADM前駆体のペプチド断片である領域pro-ADM(MR-proADM)の増加が、超急性期虚血性脳卒中における虚血ペナンブラ(=早期に血流が再開すれば救済可能な領域)を予測するバイオマーカーとして機能するかどうかを検討しました。その結果、超急性期脳梗塞119症例(中央値77歳)と対照群1298例(中央値58歳)の比較では、脳梗塞群で血漿MR-proADM濃度が高値であり、また、MR-proADM濃度は上述のペナンブラを推定する指標と密接に関連していました。以上より、本研究では、国内で初めて、MR-proADMが超急性期脳梗塞におけるペナンブラを反映する血中バイオマーカーである可能性が高いことが明らかにできました。本研究の結果は、脳梗塞の診療および予後を劇的に変化させ得る重要な知見と考えられます。
PMID
35916272
掲載誌
Brain Pathology Volume 33, Issue 2 e13110