研究論文

Research Publication

末期肝疾患と新規心不全発症との関連:統合医療システムを使用した解析

2023.05.30

著者名
田中仁啓ら
発表日
2023.04.24
論文タイトル
Association Between End-Stage Liver Disease and Incident Heart Failure in an Integrated Health System
研究の概要
 末期肝疾患(ESLD)と心不全(HF)はしばしば併存し、疾患の重症度と死亡率と関連していることは知られているが、ESLD患者のHFの真の発症率はほとんど研究されていない。本研究では、リアルワールドの臨床集団におけるESLDと新規発症HFとの関連性を明らかとすることを目的とした。
 米国Northwestern大学の大規模統合医療システム内で、ESLDを有する患者と年齢・性別・末期肝不全と診断された西暦・高血圧・糖尿病の頻度をマッチさせたESLDを有しない対照群を1:1で後ろ向きに抽出し検討した。5004人の患者(ESLDが2502人、ESLDがない2502人)の中で、年齢の中央値は57.0歳、男性が59%、糖尿病を18%に認めた。2.3年間の追跡調査で、121件の新規HF発症が確認された。ESLD患者と比較して、非ESLD群のHF発症リスクは有意に高かった(調整HR:4.67、95%CI:2.82-7.75、p < 0.001)。そして、ESLD群の大部分(70.7%)は、駆出率が50%以上のHF(Heart failure preserved ejection fraction: HFpEF)であった。
 以上から、ESLDは、共通の代謝危険因子の影響を考慮しても、新規発症HFのリスクが有意に高いことと有意に関連しており、主な型は駆出率が保たれたHFpEFであることが明らかとなった。
PMID
37095330
掲載誌
Journal of General Internal Medicine