研究論文

Research Publication

自由診療で行われる再生医療がもたらす財政的リスク

2023.02.07

著者名
八田太一ら
発表日
2022.05.10
論文タイトル
Financial risks posed by unproven stem cell interventions: Estimation of refunds from medical expense deductions in Japan
研究の概要
 安全性や有効性が十分に検証されていない再生医療が、患者さんに治療として提供されている実態が問題視されています。さらに、科学的エビデンスが不明な医療にかかる治療費の一部を、医療費控除に基づく還付金という税制度を通じて、国民が負担するという「財政的リスク」もあるのではないかと考えられます。
 厚生労働省が2017年12月から2018年2月に公開した患者さんへの説明文書3536件を分析した結果、厚生労働省に届出のあった再生医療を受けた「患者数」で推定すると、2017年度で1億円〜82億円(中央値9億円)、2018年度で2億円〜149億円(中央値16億円)でした。
 この結果は、安全性や有効性が十分に検証されていない再生医療に伴う社会全体が負う財政的リスクについて新たな知見を示します。すなわち、自由診療で行われる再生医療には医師・医療機関と患者さんとの間の個人的・私的な関係を超える問題(財政的リスク)があること、つまり、患者さんの健康リスクと経済的リスクに対する自己責任で片付けられること以外の社会全体にとっての問題があることになります。

より詳細な説明は、CiRA Newsをご参照ください。
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/220425-130000.html
PMID
35452594
掲載誌
Stem Cell Reports