研究論文

Research Publication

血管内皮の抗血栓性分子であるトロンボモジュリンの濃度及び分子内領域依存性の生理活性発現機構の解析

2023.01.13

著者名
浦野哲盟ら
発表日
2022.10.28
論文タイトル
Visualization of Domain- and Concentration-Dependent Impact of Thrombomodulin on Differential Regulation of Coagulation and Fibrinolysis
研究の概要
背景:トロンボモジュリン (TM) は血管内側の細胞に発現しており、凝固因子であるトロンビンの活性を修飾して抗凝固因子であるプロテインC(PC)や血栓溶解阻害因子であるトロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)の活性化因子に変えてしまう。これらの活性により過剰な血栓形成を抑制し、未熟な止血血栓の早期溶解を防いでいる。目的:TM の異なる機能発現の機構を明らかにし治療薬としての可能性を探る。結果:PC と TAFI活性化にはそれぞれTM 分子内のEGF領域3-6及びEGF 領域 4-6が最低必要であり、PC 活性化にはTAFI活性化に比し高濃度の TM が必要であることが明らかになった。考察:血管傷害部位での凝固カスケード活性化により産生されたトロンビンが隣接する正常血管内皮上の TM に結合すると抗凝固、線溶阻害活性を有するが、その機能発現の調節は TM 濃度に依存することが明らかになった。また可溶性小分子TMはその領域構成により異なる機能を有する治療薬として使用できる可能性が示唆された。
PMID
36307100
掲載誌
Thrombosis and Haemostasis